川越宗一「天地に燦たり」は戦を描き礼を主軸にした小説

日曜日、朝から小雨が降って、空は灰色に染まっています。

名古屋の天気予報は、にわか雨、最低5度、最高9度、風速0.56m/s、湿度93%、明日は少し晴れそうですが、雨が降っているからと言って寒いわけではありません。

午后から、返却の遅れている図書を図書館へ返却するために外出の予定ですが、早く雨が止んで欲しいものです。

川越宗一の「天地に燦たり」を読み終えました。

読む者をぐいぐいと小説の世界へ引き込んでいく歴史小説です。

小説の舞台は豊臣秀吉の朝鮮出兵の時代です。

戦国の時代にあって、そこに登場する3人のそれぞれの立ち位置から見える世界が描かれています。

島津藩の侍大将、大野久高は、戦の中でいつまで自分はこんなことをしているのか、どれだけ殺し続けなけれいけないのかと自問しながらも、やはり戦の中でしか生きられません。

朝鮮人の明鐘は、倭と言われた日本国から攻められる朝鮮の国の、最下層の白丁の出身でした。

儒学を修め、白丁であることを隠して官吏となり、旧態たる朝鮮国を壊して白丁の聖人になりたいと願っています。

琉球王国の密偵である真市は、商人に身を隠しながら、大野久高の周辺に出没します。

彼は「守礼之邦」琉球を愛し、「誠を尽くす」ことを信条として生きています。

戦は九州の大友藩を攻める島津藩の大野久高の話から始まり、やがて豊臣秀吉の野望である明攻めのため、朝鮮侵略へ加わる倭軍の戦へ展開していきます。

そして秀吉没後、家康の命により島津藩は大野久高を侍大将として琉球王朝に攻め込みます。