砂川文次「ブラックボックス」は非正規社員として働く若者の暗澹たる不安を描いた

12月6日、月曜日、週の始まり、何となくそのような気がしませんが、何事も、個人の感覚など無視してどんどん先へ進んでいきます。

朝から曇っていましたが、今日だけで、明日からはしばらく晴れた日が続くようです。

気温も最低が日曜日頃から、一段と下がる予報となっているので、今週中に観葉植物をリビングに入れようと思います。

今日の名古屋は、曇り、最低6度、最高13度、風速0.56m/s 、湿度70%、昼時は寒さを感じませんが、夜になるとさすがに冷えてきます。

午後から郵便局へ行って、テレビ廃却のためのリサイクル券の用紙をもらってきました。

その場で、内容を書いて、そのままリサイクル料を振り込んでくれば、1回で済むのですが、何となく慎重にといった感じでそのまま用紙を持ち帰ってきました。

テレビの廃却方法について、妻と諍いをして気まずい思いをしました。

昨日、芥川賞受賞作の砂川文次「ブラックボックス」を読み終わったばかりでした。

作品の主人公サクマは、自転車で、宅配郵便のような仕事をしています。

彼は、作中ではメッセンジャーと呼ばれる非正規労働者で、現在の世情ではありそうな生業の世界を描いています。

元自衛官でしたが喧嘩がもとで辞め、次々と仕事を変えていくシチュエーションもよくありそうです。

多分、職業のいかんを問わず、普通の勤め人であっても、ある日突然切れて職を失う識域は日常茶飯であると思いますが、ほんの少し超えてしまって、それまでの人生の軌道を逸れてしまった男の物語です。

彼はあと2年で30歳になろうとしていると書かれているので現在28歳、若いですが、この先どうするのか、自分の将来を自由に選べるとも、そろそろしっかりしなくてはならないとも思います。

サクマは、惑いながらも、日々を成り行きに任せてやり過ごしています。

心が揺れ動く不安定な彼自身の存在を感じさせます。

たとえ、今を踏み外すことなく生活する、一見安定した勤め人であっても、こうあらねばならないと自身をそこに落とし込める人間は希少であり、成り行きに任せて日々をやり過ごすスタンスは作中のサクマと心境的にさほど変わらないものです。

一緒に同居する円佳は妊娠し、サクマにしっかり足元を根付かせた安定した生活を求めるようになります。

サクマは、ある日訪ねてきた税務署の人間と部屋の入口で話をしているうちに、かっとなり相手を殴り倒して鼻をへし折る重症を負わせます。

さらに、一緒にいたもう一人の税務署の若い男を追って、間に入った警察官にも大怪我をさせてしまいます。

彼は、刑務所へ入り、そこでも同室の受刑囚を殴り倒して罰則を受けることになります。

現代の世情の中にもありそうな男の辛口の小説ですが、甘い砂糖菓子のような昨今の小説が溢れる中、かえってリアルを感じさせます。