テア・オブレヒトの「タイガーズ・ワイフ」は幻想的リアリズムの小説

朝、雨が降っていて、久しぶりに傘をさしてゴミ出しをしました。

雨の日は、ネットが濡れていて、手で広げるのは嫌なものです。

風もなく、雨が傘に当たる音だけがしていました。

戻ってきて、手洗いをして、もう一度寝ようとすると、妻が起きてきました。

健全な生活を送る妻は、正しい生活習慣のペースメーカーです。

今日の名古屋は、晴れ所により曇り、最低10度、最高19度、風速1.11m/s、湿度70%、雨のち曇り後時々晴れ間ありといったところで、ローカルな天気予報といえども食い違いがあります。

久しぶりにThunderbirdのメールボックスをみたら、膨大な量のメルマガが届いていて、すべて整理してゴミ箱へ捨て、クリアするのに約1時間も掛かりました。

何でも放置しておくと、にっちもさっちもいかなくなるほど、ゴミが溜まるものです。

毎日少しずつ整理していれば、さほど時間が掛からないものを、一時にやるから時間が掛かります。

午後から少し晴れてきたので、図書館へ出かけようと思います。

数日前に、テア・オブレヒトという作家の小説「タイガーズ・ワイフ」を読み終えました。

この小説は幻想的リアリズム、あるいは魔術的リアリズムの系譜の小説です。

ガルシア=マルケスや村上春樹の小説と同様の系譜にあります。

テア・オブレヒトは上梓した当時、若干25歳の女性でバルカン半島セルビアのベオグラード出身のセルビア系アメリカ人でした。

小説は、ユーゴスラビア紛争で、内戦の結果、国がバラバラに分裂して、ようやく紛争が終結した国を背景にした小説です。

医師のキャリアを歩み始めた女性が、予防接種のボランティアに出かけた途中の国境で、祖父が亡くなったことを祖母からの電話で知らされます。

そして祖父の思い出とともに、祖父にまつわる二つの奇妙な物語が語られます。

一つは、少なくとも95年以上も生きて30代ぐらいしかみえない「不死身の男」の物語です。

そしてもう一つは、爆撃された動物園から抜け出したトラと、“トラの嫁”と村の人々から呼ばれたろうあの娘の物語です。

その2つの物語に関わる人物や物の来歴や幼少のころからの遍歴が詳しく語られるため、話が前後して、ややもすると読んでいるうちに混乱しそうになります。

ろうあの娘の夫は肉屋で、青年期は民族楽器グスラの名手で放浪の挙句、結婚しようとしていた娘が他の男と結婚式の直前に逃げてしまったために、その父親に騙されて妹のろうあの娘と結婚してしまったのでした。

この男は、自分で制御できないくらいに、ろうあの娘に暴力をふるって大怪我をさせてしまいます。

娘は村の薬屋の治療を受けて助かりますが、男は村から突然消えて、村の人々はトラにやられたのだと噂します。

本書は米国ではオレンジ賞を受賞を受賞した作品ですが、比喩的で象徴的な文章が多く、少し読みずらい小説ではありました。