匂いは揮発性化学物質で、数十万種類が存在する

朝6時頃は空一面の羊雲と青空が見えていました。

ゴミ袋も、可燃ごみなのにこんなに重くなるかと思って、よく見たら、何やら別のものが入っていました。

洗面所のゴミ小袋の下に、多分妻が押し込んだと思われる、布の包みらしきものが見えました。

重さの原因はそのためだったようですが、妻が捨てる不用品は致し方なしといったところです。

今日の名古屋は、曇り、最低22度、最高29度、風速1.11m/s、湿度57%、昼時すっかり曇ってきましたが、風はリビングをかなり通り過ぎます。

ベランダのサッシを全開にしていて、風が通り過ぎるのは良いのですが、お隣が料理をすると匂いが流れてきて部屋にこもります。

キッチンの換気の設計ミスなのか、それとも一つ屋根の下に暮らすマンション暮らしの宿命なのかどうかは分かりません。

食事時近くになると、肉料理やら魚料理のむせるほど強い匂いが漂ってきます。

時には隣のご主人が吸うタバコの匂いもして、そのたびにサッシを閉めるのが習わしのようになっています。

匂いは生活の証しでもあるのですが、何かしらプライバシーを覗いているような後ろめたさもあってか、遮断するのが常です。

レストランから漂ってくるのは香ばしい料理の彩の一つであるのに対して、お隣から流れてくる料理の匂いは私生活の一端として窓を閉じるのです。

妻が出かけて、窓を閉めるのが面倒なときは、放置して匂いが消え去るのを待つこともあります。

しかし、匂いというのは不思議なもので、ほとんど消えた後も長い間、漂っているような気がします。

我が家で、魚料理をすると、キッチン回りで、長い時間匂いが残るのも同じことでしょうか。

匂いの原因は、空気中を飛んでくる揮発性の低分子の化学物質です。

多くの匂い物質は10の9乗から12乗くらい薄まって空気中に存在しますが、私たちの鼻は意外と敏感で、食品に添加されている香料も量的にはかなり少ないのですが感じ取ることができます。

そのため、空気中から匂い物質がなくなった後も、周囲に付着し、残ったわずかな匂い物質により、人は長い時間匂いを感知することになります。

匂い物質は、推定で数十万種類が存在すると言われています。

人間には嗅上皮とよばれる匂いを感知する粘膜組織があります。

片側で1円玉程度の表面積(数cm2)です。嗅覚がすぐれている犬に比べたら人間は40分の1程度の広さですが、嗅上皮には、嗅神経細胞という匂いを感知する神経が、人間で約500万個ほどあります。

人間の染色体上には、約400種類の匂い受容体遺伝子が存在します。

400種類の匂い受容体タンパク質それぞれには、匂い分子がはまる鍵穴のような部分があり、その形は400種類の受容体ですべて異なります。

鍵である匂い分子が受容体の鍵穴にはまると、受容体の形が変化して、その結果嗅神経細胞が興奮して電気信号となって脳に伝わります。

匂い分子が400種類のどの受容体に結合するか、その組み合わせ(パターン)はそれぞれの匂いで異なります。組み合わせがまったく違うとまったく違う匂いになります

400種類の受容体があることから、理論的には、2の400乗の組み合わせがあるので、数十万とも言われる匂い物質は簡単に識別できるようになっています。

嗅覚のセンサーが400種類というのは五感のなかでも圧倒的に数が多く、それが匂いのバラエティーさを生み出す分子基盤になっているそうです。

良く使われる防臭剤としてファブリーズがありますが、その作用は、ファブリーズの有効成分であるシクロデキストリン分子が、臭いを部分的に溶解し、シクロデキストリンドーナツ形状の「穴」の内側に複合体を形成するのだそうです。

悪臭分子はまだそこにあるのですが、匂い受容体に結合できないため、匂いを嗅ぐことができなくなるそうです。