最近とみに古い存在に惹かれる

12月25日、土曜日、今年も残すところ1週間となりました。

雪が降るかもしれないということで、朝から不穏な雲が空の所々に垂れこめていました。

今日は妻の実家へイオンで買ったお米を運ぶことになっていました。

降り始める前に早く行って、早々に帰ってこないといけません。

まさか使うことになるとは思いませんが、車のトランクへゴムチェーンを載せました。

名古屋の予報は、曇り所により晴れ、最低1度、最高12度、風速1.39m/s、湿度59%、明日は雪マークが付いています。

お米を積んで、妻が実家の義母に頼まれていたいくつかの物も積みました。

義父に頼まれていた補聴器用電池は、昨日の夕方に届きました。

ゆっくりと車が走り出し、坂を下っていくと、交差点で白髪の老人が自転車で横切っていきます。

ジャーというタイヤ音とともに、視界が前へ進んでいきます。

街中の坂を、上り下りを繰り返して、生身の人間だったらとても耐えきれない持続力で走っていきます。

時々横から入ってくる車には、すべて譲るようなったのは定年退職してからのように思います。

交差点で信号待ちをしていると、右側の路からクラシックカーの黒いモーガンが出てきました。

幌はかぶっていますが、窓は全開、というよりは無いのかもしれませんが、ゆっくりと右折して私が進むのと同じ方向へ走っていきました。

しばらく走っていったら、モーガンが左に寄せて止まっていて、その脇にニットキャップにマフラー、丸メガネに厚手のコートを装った初老の男がポケットに手を入れて立っていました。

「妻が寒そうな車ね」と言い、私は「あれは文化遺産」と答えます。

あのような古い車をぴかぴかに磨いて走っているのも、雰囲気として悪くはありません。

妻の実家へ着くと、義父が日課としている中日春秋の書き写しをしていました。

震えの無いしっかりした丁寧な文字です。

私も自分の手を動かして何かをしないといけないと、常々思うのですが、思うだけで1年が過ぎてしまいました。

妻が渡した補聴器用電池のシートを受け取り、小さなボタン電池を交換しているのを見ていると、手の震えも無く94歳としてはしっかりしたものです。

私も義父ほど長生き出来たら、あのように元気でありたいと思います。

義父はさらに長く生きるほどに、周りをうならせるものがあります。

私も70歳になってしまい、最近とみに古い存在に惹かれるようになりました。