アニメ「老人と海」は絵画のような映像が美しい

2月24日水曜日、6時40分頃に目が覚め、ゴミ出しをしました。

背をかがめた紺色の防寒コートを着た男が、ゆっくりと坂を登っていきます。

向こうから鮮やかなオレンジ色のダウンジャケットの中年女性が、小さな犬にリードを付けてやってきます。

空気が、冷たく静止していました。

戻ってきて再び眠りに落ち、次に目が覚めた時、世界は眩しい光に満ちています。

先日、アニメ短編映画「老人と海(The Old Man and the Sea)」をネットで観ました。

ヘミングウェイの名作小説を原作としたアニメーション映画ですが、まるで絵画をみているような美しい映像が印象的でした。

最初は目がちらちらして粗く観にくい手書き画面のように感じるのですが、しばらくすると目がなれて、画面が進むほどに変わっていく映像、特に空の青や白い雲、紅い夕日を映した海の描写が見事で、息をのむようです。

淡い画調が醸し出す独自の詩情豊かな世界はアニメならではの魅力に満ちています。

わずか20分の作品ですが、1999年のアカデミー短編アニメ賞を受賞しています。

ストーリーは、粗末な小屋に1人住む老いた漁師の話です。

その他に登場するのは、老人を慕って小屋にやってきては、老人の食事の世話をする少年一人だけです。

ある日、一人で小さな帆かけ舟で沖合に出た老人の仕掛けた針に巨大なカジキが食いつき、3日間にわたる孤独な死闘ののち、最後に銛の一突きで仕留めます。

船の長さよりも大きいカジキを船の横へ括り付けて戻る途中で、サメの群れに襲われて漁港にたどりついたときには、カジキは鮫に食い尽くされ、巨大な骨だけになっていました。

海の上で一人闘いながら、過ぎた昔のことをとりとめもなく思い出します。

そして老人は大魚に語りかけ、兄弟分のような親愛感さえ抱きます。

誰にも知られることなく生き、死んでいく孤老に、ある日突然起こった出来事を描いたこの名作は多くの人々に深い感銘を与えました。