探し物

2月3日、土曜日、曇り、何度か目覚める朝にも慣れて、すっきりした眠りを喪失してから随分と時が経ちました。

何かをしないで済ませてしまうと、瞬く間に時間が過ぎて、それらが借金取のように私の後を追ってきます。

この数日、古い戸籍謄本のコピーを探しています。

会社生活を送っていたのは既に7年前、なぜか、使っていた手提げバッグの普段開けない背面のジッパーのある収納場所に忘れ去られたように入っていたような気がします。

なぜ、そのような場所へ入れていたのか覚えが無いのですが、亡くなった父母がいつもそこにいるような、言ってみれば一風変わったお守りのようなものでしょうか。

会社を定年退職してからは、収納場所が、車のトランクの道具を入れているキャンバス地の旅行バッグの背面袋部へ移りました。

去年、車を売却することになり、トランクの中の諸々は引き上げて、一旦マンションの部屋の廊下に積み上げました。

そのうち、整理をしようと思いながらも、放置状態でしたが、故あって、その古い戸籍謄本の中身を確認しようと思い、探しましたが見当たりません。

この3日ほどかけて、車から引き上げてきたものをすべてバラバラにして調べてみましたが、どこにもありませんでした。

これほど探して見つからないと、果たして車のトランクの中にそのようなものが本当にあったのかさえ曖昧模糊として確信が持てなくなります。

7年前に、破って捨ててしまった可能性もあります。

或いは、別の場所奥深くに入れて、忘れてしまっていることも考えられます。

定年退職後、記憶地獄に苛まれることが多くなりましたが、肝心なことの記憶は霧散して蘇ることなく、暗中模索を繰り返しています。

部屋のクローゼットの中の荷物の隙間へ押し込んで、後で然るべき場所へ移そうとしたのではないかとも想像し、家探しのようにクローゼットの中をひっくり返してみましたが徒労に終わりました。