小川哲の「地図と挙」を読み終えた

小説

6月13日、金曜日、早朝何度か目覚める奇妙な感覚、6時半に起きてゴミ出し、今日は天気が良さそうです。

妻に頼まれて銀行を2つ巡り、このところ何かと忙しくて、頭が混乱します。

しかし、歳のせいか、同時にいくつもの事がこなせなくなっているようです。

今日は13日の金曜日、縁起を担いでか銀行にはお客がほとんどいませんでした。

このままいくと、多くの支店が統廃合され閉店されてしまうのではないかという危惧が現実のものになりかねません。

我が家へ戻ってきたのは午後2時半過ぎとなっていました。

私よりも、先に家を出た妻が、栄で用事を済ませて帰ってきたのはその1時間後でした。

今日の名古屋は、曇御所により晴れ、最低21度、最高28度、風速3m/s、湿度59%。

妻が帰ってきて間もなく、私は図書館へ予約図書受領と図書返却のため出かけました。

図書館も、空いていましたが、空調が入っていて心地よい環境となっていました。

せっかくなので、持ってきた小説を座り心地の良いソファに沈み込んで読んでいるうちに、迂闊にもうたた寝をしてしまいました。

いつの間にか18時近くになっていたので、慌てて図書館を後にしました。

シルバーパスは7回使用、今月の累計37回、余裕は、2×13-37=-11回です。

小川哲の「地図と挙」を読み終えました。

全625頁のかなり長編のハードブックで手で持つだけでもかなりの重量感があります。

本書は、第168回直木賞受賞作です。

日露戦争前夜、そして義和団事件、支那事変を経て太平洋戦争へと至る半世紀の満州を舞台とした群衆文学です。

中国東北部満州奉天の東にある寒村である李家鎮(リージャジェン)をめぐり、次々と登場する人物たちが描かれています。

登場人物は、李家鎮の顔役である李大綱(リーダーガン)、ロシアの鉄道網拡大のため派遣されたイヴァン・ミハイロビッチ・クラスニコフというロシア人神父、李家鎮の有力者となった孫悟空(ソンウーコン)こと楊日鋼(ヤンリーガン)、東京帝国大学で気象学を学んでいた須野孫悟空の血のつながらない娘で抗日運動に身を投じる孫丞琳(ソンチョンリン)、天皇を崇拝し、李家鎮近郊の集落に住む女子供を含む全住民を虐殺した守備隊配属憲兵の安井、須野の息子で東京帝国大学に進み建築家を目指す明男(あけお)明男も加わる建築家の論文の勉強会を主宰しながら陰で共産党の秘密末端組織の中心人物であった中川、明男の帝国大学の研究室の一学年上の先輩である石本といった人物らが入れ替わり登場します。

冒頭、ロシアの諜報のためにハルビンへ向かう高木と当時21歳であった通訳の細川という二人の日本人の船上での会話から始まります。

高木はハルビン上陸直前に父の形見の小刀を川に捨てることができなくて、持ち物検査をするロシア兵に発覚し、あわや拘束されそうになりましたが、細川が小刀は自分のものだと言って身代わりとなって引っ立てられました。

しばらくしてから、細川は初老のロシア人とともに高木のもとへ戻ってきました。

軍人たちを説得するのに体力を使い果たしたといいながらも無事でした。

後に高木は士官として、ロシア軍との戦闘で戦死、細川は、シンクタンク「戦争構造学研究所」を立ち上げ、日本と満洲の10年後の未来予測をします。

現実の「北支事変」や日中戦争の拡大、米国との開戦、日本の敗戦までを予測していながら、現実には、押し流されていく歴史に対しては何ら影響を与えることはありませんでした。