2月6日、木曜日、快晴、5時であったか6時であったか、もう忘れましたが、暗闇の中手探りで、トイレへ行くまでのほんの数歩の廊下が、底冷えするほどの寒さでした。
いつも、分厚い布団の中へ入いる時、王侯貴族の儀式のような気分になりますが、やがて眠りに落ちてしまえば何も残りません。
午後から、スポーツジムへ出かけます。
ジムは今月3回目、シルバーパスは今日2回使用、今月累計12回、余裕は6×2-10=0回です。
今日の名古屋は、曇り所により晴れ、最低-2度、最高5度、風速1m/s、湿度45%、気温は冬真っただ中のレベルですが、昼時の日差しは温かく優しさを感じさせます。
平日木曜日のトレーニングルームは空いていて、筋力マシンの利用は比較的スムーズに進められました。
今日は、マネキン嬢、180度開脚老人もお休みのようで姿が見えませんでした。
私は、お腹の調子が悪くて、2回トイレに行きました。
お腹が強くないのは、幼少の頃からのことで、今更どうこうはありませんが、とりあえず、このような時には水分を控えて、持参した水稲のお茶も口付けず、そのまま持ち帰ることにしました。
帰りのバスはほぼ満席、私はダウンジャケットでヌクヌクに太った30代くらいの男性の横の席に、通路に体をはみ出させて無理やり腰かけました。
大きな頭陀袋のようなトートバッグから、小説「三体 Ⅱ」下巻を取り出し、無理な姿勢にもかかわらず、いくつかのバスストップまでの短い時間を利用して読み始めました。
「三体 Ⅱ」の下巻もほぼ終盤に差し掛かっていて、少しでも先を読み進めたくて、そのような時には小心者の私も厚顔無恥になります。
我が家に着くと、妻が夕飯に暖かい焼きそばを用意してくれていました。
夕飯後は、明日のゴミ出しの準備もあって、後片付けにいつもよりも長い時間を要しました。
11頃まで掛かって、妻が風呂に入る頃に、ようやくPCの前のいつもの定位置にどっかりと腰を下ろすことができました。
午前2時を回った頃に、小説「三体 Ⅱ」下巻を読み終わりました。
「三体 Ⅱ」の物語のあらすじは、400年後に人類を滅亡させ地球に入植するため星間航行する1千隻の三体艦隊に抗するため、国連機関が選任した4人の面壁者の顛末について描かれています。
三体星の元首が、地球を監視するために光速で発射して送り出した2個の改造陽子、智子(ソフォン)が、三体文明を崇める地球の反社会組織を利用して、地球の基礎科学の発展を悉く阻止します。
そのような状況下で、4人の面壁者が採った戦術戦略が、やはり三体星の元首が放った破壁人によって明らかにされます。
その結果、面壁者の内の1人は自殺をし、1人は彼の戦術に激怒し荒れ狂った民衆に襲われて不遇な死を遂げました。
残りの一人は、その完璧な洗脳の方法が非難され、彼自身が逃亡思想者であることが発覚して、国連の面壁委員会から面壁者を解任されます。
最後に残った面壁者、羅輯(ルオ・ジー、ら・しゅう)が人類を救うわけですが、その方法がフェルミのパラドックスの解釈の一つに基づいた戦略でした。
フェルミのパラドックスは、この厖大かつ悠久の宇宙にあって、地球外文明は確率的に確かに存在するのに地球人以外に見当たらないのはなぜか、というものです。
小説の中には、宇宙文明の2つの公理が述べられています。
その一「生存は文明の第一欲求である」
その二「文明はたえず成長し拡張するが、宇宙における物質の総量はつねに一定である」
広い宇宙で、ある文明が別の惑星の文明を認識した時に最終的にどのような対処方法を取るかという可能性について、羅輯は無二の親友となった元敏腕刑事である史強(シー・チアン、し・きょう)に説明します。
仮に、大宇宙の中で、文明があるかもしれない惑星の位置座標の分かる情報が何らかの方法で発信された時に、別のいくつかの文明がそれを受信するであろうとしています。
受信した文明の取りうる可能性として、いくつかを挙げ、その中のある文明は、猜疑連鎖によって、まだ見知らぬ文明のたえず成長し拡張するスピードによっては、いつか自文明を超え、将来的に脅威となる恐れがあると考え、共栄と自文明殲滅を天秤にかけリスクを最小とするため、今のうちに芽を摘んでしまおうとして、惑星を攻撃する可能性があるとしています。
大宇宙の上位の文明が下位の自文明を殲滅する恐れがあるがため、大宇宙の文明は鳴りを潜めている、このような状態を宇宙は暗黒の森だとして、小説の中では黒暗森林と表現されています。
羅輯は実際に、太陽に贈った電波が何百倍にも増幅されることを利用して、ある恒星の位置情報を全宇宙に送りました。
そしてその恒星が消滅したことを確認しました。
黒暗森林の説が正しいことを確認したのでした。
しかし、三体艦隊が、先行探査機として送った、超硬物質でできた直径3.5mの水滴状球体たった1機によって、1千隻以上の地球連合艦隊が、2隻を残して殲滅させられ、太陽を使った通信も水滴状球体から発する電磁波によるジャミングにより封じられました。
手を封じられた羅輯は、太陽軌道上に配された3,614発の恒星型水素爆弾が爆発時に作る星間雲が、ある星間雲間隔で太陽光や放射線を遮ることにより、シグナルを送るるようにイオンエンジン装備の水素爆弾の相互位置を遠隔操縦で調整しました。
そのシグナルは、3体星の正確な座標位置を示すものでした。
太陽の可視光線を使うことによって、地球の存在も他の文明に知られてしまうことになりますが、これによって、三体艦隊に脅しをかけることが可能になります。
羅輯は手首に巻いた生体反応モニターが、停止すると恒星型水素爆弾の起動スイッチが自動的に入るよう細工し、智子や水滴状球体によって殺されることを防ぎました。
三体艦隊は太陽系に近づかないという羅輯の要求を受け入れ、地球文明殲滅の危機は回避されました。
「三体 Ⅱ」は物語中、男女の恋愛の冗長な文説はあるものの、最終項はSFとして中々楽しめるストーリー展開となっていました。