大島真澄美の「渦 妹背山婦女庭訓魂結び」は人形浄瑠璃作者の近松半二の生涯を描いた

梅雨らしい空模様で、心なしか、空気がひんやりと感じられます。

これから、気温が上がるに従って、ムシムシするようになるのかもしれません。

今年も確実に季節は訪れ、時は確実に進み、来るべきものはやがて目の前にやってきます。

名古屋の天気は、にわか雨、最低19度、最高24度、風速0.28m/s、湿度100%、明日は曇り、明後日は一部日も差す天気になりそうです。

大島真澄美の「渦 妹背山婦女庭訓魂結び」は魅入られたように書きつづける浄瑠璃作者近松半二の生きざまを描いた作品です。

江戸時代、芝居小屋が立ち並ぶ大坂は道頓堀(どうとんぼり)で生まれ育ち、父から譲られた近松門左衛門の硯を携えて、竹本座で人形遣い名人・吉田文三郎から厳しいダメ出しをくらいながら修業を積み、やがて立作者となります。

虚にして虚にあらず、実にして実にあらず、この間に慰みがあるものなり、とは亡くなった半二の父親以貫の言葉でした。

虚が実を食い散らかしていく、真っ黒な深淵に取り憑かれ、書き続けるためにどうしても酒が必要になり、飲んで飲みまくって死んだ浄瑠璃作者の竹田治蔵の挿入話もあります。

後半、半二が作り出した、「渦 妹背山婦女庭訓魂結び」の中に出てくるお三輪が半二に語りかけ、半二もまた三輪と語るようになります。